
冬囲いは、雪国だけでなく寒冷地以外の地域でも、庭木を健やかに保つために欠かせない冬支度のひとつです。
「冬囲いはいつから始めればいいのか」「どんな道具を揃えればいいのか」「自分でできるのか、業者に頼むべきか」など、初めて取り組む方は疑問が次々と浮かんでくるでしょう。
本記事では、冬囲いをしないと起こるリスクから、開始時期や必要な道具、基本手順、樹種別の囲い方、業者費用の目安、よくある質問までを幅広く解説します。
冬の庭木を守るための知識を一通り押さえたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
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庭木に冬囲いをしないと起こるリスク

実際には、庭木が冬を越すうえで欠かせない保護作業として大切な役割を担っています。
ここでは、冬囲いをしないままにすると庭木にどのような悪影響が出るのかを具体的に見ていきましょう
枝折れ・幹割れ・凍害
雪が積もる地域では、湿った雪が枝に乗ることで重量が一気に増し、細い枝から太い枝まで折れてしまうケースが多く見られます。
また、昼間に水分を含んだ幹が夜間に凍結することで、幹の内部組織が破壊される「凍害」も発生します。
凍害が進むと、樹皮が縦に裂けたり、翌春に芽吹かなくなったりと、樹木そのものの生存に関わる深刻なダメージへとつながります。
雪の重みによる変形・倒木
ツツジやサツキのような枝が放射状に広がる低木は、上から押しつぶされる形で枝が地面に倒れ込み、形が元に戻らなくなるケースもあります。
さらに、地面が凍って根の張りが弱った状態で大量の雪が積もると、樹木全体が傾いたり、根元から倒れたりする「倒木」へと発展する可能性も否定できません。
倒木が起これば、塀や建物、車などに被害が及ぶおそれもあり、庭木の問題にとどまらず周辺への損害にも発展します。
寒風による葉焼け・枯れ込み
冷たく乾いた寒風が長時間吹きつけることで、常緑樹の葉から水分が奪われ、葉が茶色く変色する「葉焼け」が発生します。
葉焼けが進行すると枝先まで枯れ込み、見栄えが悪くなるだけでなく樹勢そのものが弱ってしまうこともあります。
加えて、根が凍結している状態では水分の吸収が追いつかず、生理的な乾燥被害が広がる点も問題です。
サザンカやツバキ、シャクナゲなどは、寒風被害を受けやすい代表的な樹種といえます。
冬囲いを始める時期と外す時期

地域の気候や雪の降り始め、庭木の樹種に合わせて、開始時期と取り外す時期を見極めましょう。
地域別の冬囲い開始時期
雪が早く降る北日本ほど作業時期も前倒しになり、温暖な地域では遅めの時期でも問題ありません。
おおまかな目安を以下にまとめました。
| 地域 | 冬囲い開始時期の目安 | 主な対象 |
|---|---|---|
| 北海道 | 10月下旬〜11月中旬 | ほぼすべての庭木 |
| 東北・北陸 | 11月上旬〜11月下旬 | 雪吊りが必要な高木を含む |
| 関東・甲信越 | 11月下旬〜12月上旬 | 寒風に弱い常緑樹中心 |
| 関西・中国・四国 | 12月上旬〜12月中旬 | 寒さに弱い庭木のみ |
| 九州・沖縄 | 必要に応じて12月中旬以降 | 寒波予報時のみ対応 |
雪の多寡だけでなく、その地域特有の寒風や霜の影響も考慮して時期を決めていきましょう。
雪が降る前の作業完了目安
雪が積もってから作業しようとすると、足場が悪く危険なうえに、すでに枝が雪の重みでしなっているため思うように縛り上げられません。
目安としては、地域の例年の初雪日から2週間程度前までに作業を終えておくと安心です。
加えて、天気予報で寒波の到来や初雪の予測が出た場合には、予定を前倒ししてでも作業を済ませておくとよいでしょう。
材料の調達や下準備にも時間がかかるため、ホームセンターが混雑する前に道具を揃えておく段取りも欠かせません。
春に冬囲いを外すタイミング
外すのが早すぎると遅霜や寒の戻りで被害を受け、逆に遅すぎると蒸れによって枝葉が傷む原因となります。
地域ごとの目安は次のとおりです。
- ●北海道:4月中旬〜4月下旬
- ●東北・北陸:3月下旬〜4月中旬
- ●関東以西:3月中旬〜3月下旬
雪解けが進み、最低気温が安定して0度を上回るようになった頃が、撤去作業の合図となります。
ただし、雪吊りや支柱については、一度に外してしまうと急な突風で枝が傷むこともあるため、段階的に取り外すと安全です。
冬囲いに必要な道具と材料

ここでは、代表的な道具と材料の特徴や選び方を見ていきましょう。
縄・荒縄
枝を支柱に縛り上げたり、雪吊りで枝を吊ったりと、あらゆる場面で活躍します。
冬囲いでは、棕櫚縄(しゅろなわ)や藁(わら)を編んだ荒縄が一般的に使われます。
縄の特徴を以下にまとめました。
| 種類 | 特徴 | 主な用途 |
|---|---|---|
| 荒縄(藁縄) | やわらかく結びやすい、価格が手頃 | 一般的な冬囲い全般 |
| 棕櫚縄 | 耐久性が高く見栄えがよい | 雪吊り、化粧縄として |
| 麻縄 | 結びやすく強度がある | 補助的な結束用 |
| 化繊ロープ | 雨や雪に強く長持ち | 大型樹木の補強用 |
見た目を重視する場合や和風の庭園では棕櫚縄が好まれますが、コスト重視であれば荒縄でも十分機能を果たします。
支柱・竹
雪吊りでは中心に立てる「心柱(しんばしら)」として、低木の囲いでは三脚状に組む支えとして使われます。
材質には木材、竹、金属パイプなどがあり、用途に応じて使い分けます。
- ●太い丸太や角材:雪吊りの心柱として高木に使用
- ●竹:しなやかで扱いやすく、中小の庭木に最適
- ●鋼管(イレクターパイプなど):繰り返し使え、耐久性に優れる
竹は軽くて加工しやすいため、初心者でも扱いやすい素材といえます。
支柱の長さは、囲いたい庭木の高さよりも30cm〜50cmほど長いものを選ぶと作業しやすくなります。
ムシロ・寒冷紗・防風シート
それぞれ特徴や使い分けが異なります。
| 材料 | 特徴 | 適した使い方 |
|---|---|---|
| ムシロ | 通気性が良く伝統的、和風の景観に合う | 大型の樹木全体を覆う |
| 寒冷紗 | 軽量で扱いやすく光を通す | 常緑樹の葉焼け防止 |
| 防風シート(不織布) | 防風性に優れ低価格 | 風の強い地域での囲い |
| ビニールシート | 雪を弾くが蒸れやすい | 短期間の応急処置 |
ビニールシートは便利に見えますが、内部が蒸れて枝枯れの原因になることがあるため、長期間の使用は避けたほうが無難です。
通気性を確保しながら寒さを防ぐ素材を選ぶことが、庭木の健康を守るポイントとなります。
に使用するのは避けたい道具といえます。
庭木の冬囲いの基本手順

冬囲いは、枝を整え、支柱を立て、縄で縛り、必要に応じて覆うという流れで進めていきます。
ここでは、初心者の方でも理解しやすいように、ひとつずつ順を追って解説します。
枝の剪定と整枝
枯れ枝や交差した枝、内側に伸びすぎた枝などをあらかじめ取り除いておくことで、囲いの形がきれいに整います。
剪定の主なポイントは次のとおりです。
- ●枯れ枝や病害虫の被害を受けた枝を取り除く
- ●混み合った枝を間引いて風通しを良くする
- ●雪の重みで折れやすい長い枝は短く詰める
- ●樹形を乱す徒長枝(とちょうし)は付け根から切る
ただし、冬に強剪定を行うと樹木にダメージを与える場合もあるため、太い枝を一気に切るのは控えましょう。
あくまで囲いの邪魔になる部分を整理する程度にとどめるのが基本です。
支柱立て
支柱は、雪や風の重みを庭木の代わりに受け止める骨組みとなる重要な存在です。
支柱の立て方は囲いの種類によって異なりますが、代表的な方法をいくつか紹介します。
- ●三脚囲い:3本の支柱を樹木を囲むように三角形に立てる方法。低木に向く。
- ●四つ目囲い:4本の支柱を四角形に立て、横木で連結する方法。中型の庭木に向く。
- ●雪吊り(りんご吊り・幹吊り):1本の心柱を中心に立て、上から縄で枝を吊る方法。高木向き。
支柱は地面に20cm〜30cm程度深く打ち込み、しっかり固定することが大切です。
ぐらつきがあると、雪の重みで支柱ごと倒れてしまう原因になります。
縄での縛り上げ
縄での縛り上げは、枝を支柱に寄せて固定する「寄せ縛り」や、外側から全体を巻く「巻き縛り」といった方法が一般的です。
縛る際の基本的な注意点は以下のとおりです。
- ●縄はゆるすぎず、きつすぎず、枝を傷つけない程度に締める
- ●下から上に向かって順に縛っていく
- ●結び目は支柱の外側に作ると見栄えが良くなる
- ●雪が滑り落ちるよう、上部はやや円錐形に整える
縄を強く締めすぎると枝の樹皮を傷め、春先に枝枯れを起こす原因にもなるため力加減には注意しましょう。
糸はナイロン製の水糸が安価で扱いやすく、ホームセンターで数百円から購入可能です。
男結び(いぼ結び)の結び方
ほどけにくく、見た目も整っているため、造園の現場で長年用いられてきた伝統的な結び方となります。
基本的な手順は次のとおりです。
- ●縄を支柱と枝に巻き付け、両端を交差させる
- ●上から下に通した縄を、もう一方の縄の下にくぐらせる
- ●縄をもう一度交差させてループを作る
- ●ループにもう一方の端を通して引き締める
- ●余った縄を切り、結び目を整える
文字だけで理解するのは難しいため、動画サイトなどで実際の動きを確認しながら練習するのもおすすめです。
何度か繰り返すうちに、自然と手が覚えていきます。
ムシロ・シートでの覆い
覆いは、寒風や雪を直接遮断する役割を果たし、葉焼けや凍害から庭木を守ります。
覆いをかける際のコツは以下のとおりです。
- ●通気性を保てるよう、完全密閉は避ける
- ●覆いの上端は枝先から少し離して隙間を残す
- ●風で飛ばないように複数箇所で縄で固定する
- ●積雪の多い地域では円錐形に仕上げて雪が滑り落ちるようにする
すべての庭木に覆いが必要なわけではありません。
樹種や設置場所、地域の気候に応じて、覆うかどうかを判断していきましょう。
庭木の種類別の冬囲い方法

低木と高木、広葉樹と針葉樹では、雪や寒さの受け方が異なるためです。
ここでは、代表的な樹種ごとの冬囲いの考え方を見ていきましょう。
低木(ツツジ・サツキ)の冬囲い
そのまま放置すると、雪の重みで枝が地面に倒れ込み、樹形が崩れてしまいます。
低木の冬囲いでは、以下のような方法が一般的です。
- ●寄せ縛り:枝全体を中心に寄せ集め、縄で軽く縛る
- ●逆さ箒(さかさぼうき):中心に支柱を立て、放射状に枝を吊り上げる
- ●鳥かご型囲い:数本の支柱を立て、上部に縄を渡して全体を覆う
小さな株であれば、寄せ縛りだけでも十分な効果が得られます。
株が大きく広がっている場合は、支柱を併用したほうが安心です。
ら意識して刈っていくと良いでしょう。
広葉樹の冬囲い
モミジやカエデ、ハナミズキなど、枝が細くしなやかな樹種ではとくに注意が必要です。
広葉樹の冬囲いでは、次のような工夫が役立ちます。
- ●長く伸びた枝を中心に寄せて束ねる
- ●太い幹には支柱を添えて補強する
- ●樹皮が傷つきやすいため、当て布や荒縄の二重巻きで保護する
常緑広葉樹(ツバキ、サザンカなど)の場合は、寒風による葉焼けも問題になります。
寒冷紗や防風ネットで風上側を覆うと、被害を大きく抑えられます。
針葉樹(マツ・コニファー)の冬囲い
樹形を守るためには、しっかりとした冬囲いが不可欠です。
針葉樹に適した冬囲いの方法を以下にまとめました。
| 樹種 | 推奨される囲い方 |
|---|---|
| マツ(クロマツ・アカマツ) | 雪吊り(りんご吊り)、枝吊り |
| コニファー(コノテガシワなど) | 全体を縄でらせん状に縛る幹巻き |
| イチイ・キャラボク | 四つ目囲い、寒冷紗での被覆 |
| ゴールドクレスト | 防風ネットでの全体被覆 |
コニファー類は雪の重みで枝が開いてしまうと、元の樹形に戻りにくいため、しっかりと縄で締めて形を保つことが大切です。
高木の雪吊り
兼六園の雪吊りは観光名所としても有名ですが、家庭の庭でも応用が可能です。
雪吊りには主に以下のような種類があります。
- ●りんご吊り:中心に長い心柱を立て、頂部から放射状に縄を垂らして各枝を吊る
- ●みき吊り(幹吊り):幹に縄を巻き付け、上部から枝を吊り上げる方法
- ●しぼり:幹に沿って枝を寄せ、縄で締めながら全体を絞る方法
雪吊りは見た目にも美しく、和風庭園の冬の風物詩となっています。
しかし、心柱を高所に立てる作業や、放射状に縄を均等に張る技術が必要なため、初心者にはハードルが高い作業です。
高木の雪吊りについては、無理をせず造園業者に依頼することも検討しましょう。
庭木の冬囲いを業者に依頼した場合の費用

ここでは、業者に依頼した場合の費用相場を整理しておきましょう。
木の高さ別の料金目安
おおまかな相場は次のとおりです。
| 庭木の高さ | 1本あたりの料金目安 | 主な作業内容 |
|---|---|---|
| 1m未満(低木) | 1,000円〜3,000円 | 寄せ縛り、簡易囲い |
| 1〜3m(中木) | 3,000円〜8,000円 | 四つ目囲い、ムシロ巻き |
| 3〜5m(高木) | 8,000円〜20,000円 | 雪吊り(幹吊り) |
| 5m以上(大木) | 20,000円〜50,000円以上 | 本格的な雪吊り |
地域や業者によって料金体系は異なるため、複数社から見積もりを取ることが大切です。
材料費が別途かかる場合や、出張費が加算されるケースもあるため、見積もりの内訳をよく確認しましょう。
低木1本あたりの相場
1本あたりの相場は、1,000円〜3,000円程度が一般的です。
ただし、複数本まとめて依頼する場合は割引が適用されることもあり、まとめて頼むことで1本あたりの単価を抑えられる可能性があります。
加えて、剪定と同時に依頼することで作業効率が良くなり、全体的なコストダウンにつながるケースもあるので、年間を通じた庭の管理計画とあわせて検討してみるのもおすすめです。
高木の雪吊り費用
高木の雪吊り費用の目安は以下のとおりです。
- ●3〜5mの高木:8,000円〜20,000円
- ●5〜7mの大木:20,000円〜35,000円
- ●7m以上の高木:35,000円〜50,000円以上
兼六園のような本格的な雪吊りや、複数の枝に対応する大規模なものでは、さらに費用が上がる場合があります。
ただし、雪吊りは見た目の美しさだけでなく、庭木そのものを守るための投資ともいえます。
枝折れによる樹木の損失や、その後の補修費用を考えると、プロに依頼する価値は十分にあるといえるでしょう。
庭木の冬囲いでよくある質問

ここでは、その中でもとくに多く聞かれる質問にお答えしていきます。
| 雪囲いと冬囲いの違いは何ですか? | |
| 「雪囲い」と「冬囲い」は、ほぼ同じ意味で使われることが多い言葉ですが、厳密にはニュアンスに違いがあります。 雪囲いは、その名のとおり「雪から庭木を守るための囲い」を指し、雪国を中心に用いられる呼び方です。 一方、冬囲いは「冬の寒さや風、雪から庭木を守るための囲い全般」を指す、より広い意味の言葉となります。 つまり、雪囲いは冬囲いの一部であり、雪対策に特化したものといえます。 寒風対策や凍害対策も含めた総合的な冬支度を「冬囲い」と呼び、雪対策に焦点を当てたものを「雪囲い」と呼び分けているわけです。 地域によって呼び方の慣習も異なるため、業者に依頼する際は具体的な内容を確認するとよいでしょう。 |
| 冬囲いは毎年同じ縄を使い回せますか? | |
| 縄の状態によりますが、基本的には毎年新しい縄を使うことをおすすめします。 理由は以下のとおりです。
ただし、棕櫚縄や化繊ロープなど耐久性の高いものは、状態を確認したうえで2〜3シーズン使い回せる場合もあります。 使用後は雨水や雪を落としてしっかり乾燥させ、風通しの良い場所で保管することが長持ちのコツです。 カビや変色、ほつれが見られる場合は、安全のために新しい縄に交換しましょう。 |
| 若木と成木で囲い方は変えたほうがいいですか? | ||||||||||
| 若木と成木では、樹勢や枝の太さが異なるため、囲い方にも工夫が必要です。 それぞれの違いを以下にまとめました。
若木はまだ根の張りが浅く、強風や凍害の影響を受けやすい状態にあります。 そのため、幹全体を覆って保護するような囲い方が向いています。 成木の場合は、すでに環境に適応しているため、枝折れ防止や雪対策を中心とした囲い方で十分です。 樹齢に応じた囲い方を選ぶことで、庭木の健康と樹形を長く保てます。 |
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枝折れや葉焼け、倒木といったリスクを未然に防ぎ、春に元気な姿で芽吹いてもらうためには、適切な時期と方法での作業が求められます。
しかし、雪吊りや高木の囲いには専門的な技術が必要で、慣れない方が無理をすると怪我や樹木の損傷につながる恐れがあります。
そんなときは、プロの職人にお任せいただくのが安心で確実な方法です。
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冬囲いはもちろん、お庭のことでお困りのことがございましたら、どうぞお気軽にお庭の大将までお問い合わせください。




