
草刈り機は正しく扱えば短時間できれいに草を刈り取れる便利な機械ですが、手順を誤ると怪我や故障につながりやすい道具でもあります。
『チョークはどちらへ動かすのか』『刃はどの向きに振るときれいに刈れるのか』『除草剤と草刈りはどちらを先にするのか』など、初めて使う方ほど疑問が次々に出てきます。
本記事では、作業前の準備から始動、刈り方のコツ、ナイロンコードの扱い、そして安全に作業するための注意点までを、プロの視点で順を追って解説します。
エンジン式と充電式の違いや、作業に向かない時期についても取り上げますので、ぜひ最後までご覧ください。
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草刈り機の使い方は「準備・始動・刈り方」の3ステップ

どれか一つでも雑になると、エンジンがかからなかったり、思わぬ事故につながったりします。
まずは全体の流れと、初心者がとくに意識したい基本の考え方を押さえておきましょう。
初心者が最初に押さえるべき基本の流れ
慣れないうちは、この順番を声に出して確認しながら作業を進めると安心です。
| ステップ | 内容 | ポイント |
|---|---|---|
| @服装・保護具 | 長袖・保護メガネ・手袋などを着用 | 肌の露出をなくす |
| A本体点検 | 刃の固定・ネジの緩み・燃料量を確認 | 始動前に必ず実施 |
| B障害物チェック | 石・空き缶・針金・切り株を除去 | 飛散・キックバックを防ぐ |
| C始動 | エンジン式はチョーク操作、充電式はロック解除 | 平らな場所で行う |
| D刈り取り | 刃を右から左へ振って刈る | 一定のリズムを保つ |
| E後片付け | 刈った草の処分・本体の清掃 | 次回も安全に使える状態へ |
この流れを体に染み込ませておけば、機種が変わっても応用が利きます。
安全に使うために守る3つの原則
とくに次の3つは、作業のたびに必ず守りたい基本です。
- ●保護具を必ず着ける(目・手・足・耳を守る)
- ●刃の正しい位置(左前1/3)で刈る
- ●周囲の人や物から十分な距離を取る
この3点を徹底するだけでも、事故のリスクは大きく下がります。
草刈り機を使う前の準備

ここでは服装・保護具から、刃の取り付け、燃料やバッテリーの確認、作業範囲のチェックまでを順に見ていきましょう。
必須の服装と保護具
最低限そろえたい装備は次のとおりです。
- ●長袖・長ズボン(できれば厚手の作業着)
- ●保護メガネまたはフェイスシールド
- ●防振手袋
- ●すね当て・安全靴(または長靴)
- ●帽子・耳栓(またはイヤーマフ)
夏場でも半袖・サンダルでの作業は避けてください。
飛散物による切り傷や、虫刺されを防ぐためにも、長袖・長ズボンが基本となります。
刈刃やナイロンコードの取り付け
取り付け手順の要点は以下のとおりです。
- ●刃受け金具の凸部と刈刃の穴をきちんと合わせる
- ●ナットを工具でしっかり締め付ける
- ●軽く手で回し、刃が楕円を描かず水平に回ることを確認する
- ●ナイロンコードの場合はスプールを確実に固定し、コードが送り出されるか確認する
刃のガタつきは、振動や脱落の原因になります。
締め付けが甘いと感じたら、面倒でも一度外して付け直しましょう。
燃料の混合比とバッテリーの確認
混合比は機種によって異なるため、取扱説明書の指定を必ず守ってください。
| 混合比 | ガソリン量 | 必要なオイル量の目安 |
|---|---|---|
| 25:1 | 1L | 約40mL |
| 50:1 | 1L | 約20mL |
『25:1』はガソリン25に対してオイル1、『50:1』はガソリン50に対してオイル1の割合を意味します。
なお、50:1指定のオイルを正しく50:1で混ぜたものと、25:1指定のオイルを25:1で混ぜたものは、潤滑性能としてはほぼ同等とされています。
重要なのは比率の数字だけでなく、オイルの規格(JASO FC・FDなど)と説明書の指定に合わせることです。
充電式の場合は、作業前にバッテリー残量を確認し、必要なら満充電にしておきます。
作業範囲の障害物チェック
とくに次のような物は、飛散やキックバックの原因になるため要注意です。
- ●石・コンクリート片
- ●空き缶・ガラス・針金
- ●切り株・木の根・杭
雑草の中に隠れて見えにくい切り株や石は、見落としやすい危険物です。
事前に地面を歩いて確認し、取り除けるものは先に片付けておきましょう。
エンジン草刈り機の始動手順とチョークの使い方

ここでは冷えた状態からの始動を中心に、つまずきやすい手順を一つずつ解説します。
チョークを開ける向きと冷間・暖機について
結論として、冷えたエンジンを始動するときはチョークを『閉』にし、エンジンが温まったら『開』に戻します。
| エンジンの状態 | チョークの位置 | 理由 |
|---|---|---|
| 冷えている(冷間始動) | 閉(始動位置) | 燃料を濃くして点火しやすくする |
| 温まっている(暖機後) | 開(運転位置) | 新鮮な空気を取り込み効率よく燃焼させる |
チョークを閉じたまま作業を続けると、燃料が濃すぎて『燃料かぶり』を起こし、かえってエンジンが止まりやすくなります。
始動後に少し暖機運転をしたら、忘れずにチョークを開ける習慣をつけましょう。
プライマリポンプを押して燃料を送る
始動前に数回押し、ポンプ内に燃料が満たされるのを確認してください。
押しても燃料が見えてこない場合は、燃料切れや燃料経路の詰まりが考えられます。
燃料がしっかり入っているか、入っているのに燃料が見えない場合は修理に出すことも検討しましょう。
スターターロープの正しい引き方
正しい引き方の流れは次のとおりです。
- ●本体を平らな地面に安定させて押さえる
- ●ロープをゆっくり引き、抵抗が強くなる位置を探す
- ●その位置から一気に引き上げる
- ●最後まで引き切らず、ロープは手で戻す
このとき、アクセルレバーは握らないようにします。
握ったまま始動すると、かかった瞬間に刃が回転して危険なので、握り位置には十分注意しましょう。
アイドリングから作業回転まで
回転が安定したらチョークを開け、アクセルを徐々に握って作業回転まで上げていきます。
刈り始めは低めの回転で感触を確かめ、慣れてきたら必要な回転数に調整するとよいでしょう。
エンジンがかからないときに確認すべきこと
慌てて引き続けると、燃料かぶりを悪化させてしまいます。
- ●燃料が入っているか、古くなっていないか
- ●チョークの位置が状況に合っているか
- ●プライマリポンプで燃料が送られているか
- ●スパークプラグが濡れて『燃料かぶり』になっていないか
- ●エアクリーナーが汚れて目詰まりしていないか
燃料かぶりが疑われる場合は、いったんプラグを外して乾かすと回復することがあります。
それでも改善しないときは、無理せず販売店や専門業者に相談してください。
マキタなど電動・充電式草刈り機の使い方

ここでは、マキタをはじめとする充電式モデルの基本的な使い方を確認していきましょう。
電源を入れる手順とロック解除
一般的な始動手順は次のとおりです。
- ●バッテリーを本体に差し込む(ボタン上部の赤色部が見えなくなるまで確実に装着する)
- ●ロックスリーブやロックオフボタンを解除位置にする
- ●スイッチ(トリガ)を握って刃を回転させる
バッテリーの赤色部が見えている状態は、ロックが不完全なサインです。
カチッと収まるまで、しっかり差し込んでください。
バッテリー残量と連続使用時間の目安
下表は一例で、低速か高速か、刈る草の量によっても大きく変動します。
| 運転モード | 連続使用時間の目安(無負荷時の一例) |
|---|---|
| 低速 | 約4時間 |
| 高速 | 約1時間20分 |
多くの機種には残量を知らせるランプがあり、少なくなると点滅や点灯で教えてくれます。
刃をできるだけ高い切れ味に保ち、地面に刃を当てないように刈ると、バッテリーが長持ちします。
エンジン式と比べた取り回しの違い
両者の違いを表で整理しておきましょう。
| 項目 | エンジン式 | 充電式 |
|---|---|---|
| パワー | 高く、荒れ地にも強い | 機種により高い(40Vでは小型エンジン相当) |
| 連続作業 | 給油で長時間作業しやすい | バッテリー容量に依存する |
| 騒音・振動 | 大きめ | 静かで振動が少ない |
| 取り回し | やや重い | 比較的軽く扱いやすい |
| 手入れ | 混合燃料の用意や点検が必要 | 充電のみで手軽 |
静かで扱いやすい充電式は、住宅地や狭い庭に向いています。
一方、広い土地や背の高い草が多い荒れ地では、エンジン式のパワーが頼りになります。
草刈り機で上手にきれいに刈るコツ

ここでは、初心者でもムラなくきれいに刈るための具体的なコツを紹介します。
刈刃は右から左へ振るのが基本
そのため、刃を右から左へ振ったときに草がよく刈れる仕組みになっています。
刈るときは刃の左側、前方およそ1/3の範囲を使うのが基本です。
左から右へ戻すときは草を刈らないため、戻す動きは軽く流すように行いましょう。
身体の向きと足の運び方
足元は常に安定させ、片足に体重をかけすぎないことが大切です。
刈り進む方向に石や穴がないかを目で確認しながら、無理のない歩幅で進みます。
刈高さを揃えるための刃の角度
刃は地面と水平に保ち、地面すれすれではなく数センチ浮かせて動かすのがコツです。
刃を地面に当てると刃が傷むうえ、小石を巻き込んで飛散させる原因にもなります。
一定の高さを保ち、同じリズムで振ることを意識してください。
斜面・法面での立ち位置
基本は斜面に対して横向きに立ち、上から下へ向かって刈り進めると安定します。
自分より下側を刈る形にすると、万一バランスを崩しても刃が体に向かいにくくなります。
急斜面では肩掛けバンドを必ず装着し、無理な体勢での作業は避けましょう。
ナイロンコード(ナイロンカッター)の使い方

ここでは向き・不向きや、コードの扱い方、金属刃との使い分けを解説します。
ナイロンコードが向いている場所と向かない場所
向いている場所と向かない場所を整理すると、次のようになります。
- ●向いている場所:壁際・フェンス際・電柱や樹木の周り・花壇のキワ
- ●向かない場所:茎の太い草・木質化した雑草・広い面積
硬い障害物の近くでは、金属刃よりナイロンコードのほうが安全に刈れます。
ただし広い範囲や太い草には効率が悪く、小石も飛びやすいため注意が必要です。
コードの繰り出し方と長さの調整
コードが短すぎると刈れず、長すぎるとモーターやエンジンに負担がかかります。
カバーに付いたカッターで自動的に適正な長さに切られるため、出しすぎたら一度回転させて調整しましょう。
金属刃との使い分け
| 比較項目 | ナイロンコード | 金属刃(チップソー) |
|---|---|---|
| 得意な場所 | 障害物の周り・壁際 | 広い面・太い草 |
| キックバック | 起きにくい | 起きやすい |
| 小石の飛散 | 多くなりやすい | 比較的少ない(チップ破損に注意) |
| 仕上がり | やや粗い | きれいにそろう |
広い面はチップソーで一気に刈り、キワや障害物周りはナイロンコードで仕上げる、という流れがおすすめです。
コードが切れる・絡まるときの対処
主な原因と対処は次のとおりです。
- ●硬い物に強く当てている → 障害物に押し付けず、先端で軽く触れる程度にする
- ●コードが長すぎる → 適正な長さに調整する
- ●劣化・硬化している → 新しいコードに交換する
- ●巻き方が乱れている → スプールに均等に巻き直す
無理に当て続けると、コードだけでなく本体の故障にもつながります。
不調を感じたら、いったん停止して状態を確認しましょう。
草刈り機を使うときの注意点と危険を避けるポイント

ここでは、とくに気をつけたい危険と、その回避方法をまとめて解説します。
キックバック(跳ね返り)を防ぐ刃の動かし方
国民生活センターによれば、刈刃の先端から右側90度の範囲が障害物に接触すると、作業者側へ跳ね返されると報告されています。
これを防ぐには、刃の左側・前方1/3の『草を刈る位置』を使うことが基本です。
刃を無理に振り回したり、立木や切り株に押し当てたりしないようにしましょう。
小石・破片の飛散を防ぐ向きの取り方
国民生活センターの調査では、小石の最大飛散距離が刃の種類によって次のように確認されています。
| 刈刃の種類 | 小石の最大飛散距離 |
|---|---|
| 4枚刃 | 約54m |
| ナイロンコードカッター | 約35m |
| 8枚刃 | 約25m |
飛散は刃の回転方向に強く出るため、人や車・窓ガラスがある方向へ刈り進めないことが大切です。
周囲に人がいないかを確認し、近くに人が来たら一度作業を止めてください。
草刈りをしてはダメな時期と時間帯
効率と安全の両面から、次のように整理できます。
| 区分 | 推奨 | 避けたい場面 |
|---|---|---|
| 時期 | 6〜7月・9〜10月・11〜12月の年3回が目安 | 真夏の猛暑日 |
| 天候 | 雨上がり後に晴天が2〜3日続いた日 | 翌日に雨が予想される日 |
| 時間帯 | 涼しい早朝・夕方 | 日中の最も暑い時間・薄暗い時間 |
真夏の日中は熱中症の危険が高く、薄暗い時間帯は視界が悪く事故につながりやすくなります。
また早朝や夜間はエンジン音が近隣迷惑になりやすいほか、夏場は草むらのマムシやハチにも注意が必要です。
草刈りと除草剤はどちらが先か
タイプ別の正しい順番は次のとおりです。
| 除草剤のタイプ | 順番 | 理由 |
|---|---|---|
| 液体(茎葉処理型) | 除草剤が先 | 葉や茎から薬剤を吸収させ、枯れてから刈る |
| 粒剤(土壌処理型) | 草刈りが先 | 刈ってから土に薬剤を行き渡らせ、根や発芽を抑える |
液体タイプは、葉が茂った状態で散布し、枯れたあとに刈ると効果的です。
一方、粒剤タイプは雑草を刈った後、または生える前にまくと、土の中で効果を発揮します。
なお除草剤は農薬にあたるため、種類(農耕地用・非農耕地用など)と使用場所の表示を必ず確認してください。
作業後の手入れと保管で気をつけること
最後に押さえておきたいポイントをまとめます。
- ●刃やカバーに絡んだ草・泥を取り除く(エンジン停止・刃が止まってから行う)
- ●刃の摩耗や欠け、ネジの緩みを点検する
- ●エンジン式は長期保管前に燃料を抜く(古い燃料は始動不良の原因)
- ●充電式はバッテリーを外し、高温・直射日光を避けて保管する
エンジンをかけたまま刃に絡んだ草を取り除くと、急に刃が回って大変危険です。
手入れは必ず動力を切ってから行いましょう。
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一方で、チョーク操作や混合燃料の管理、キックバックや小石の飛散といったリスクもあり、慣れないうちは思わぬ怪我や故障につながりやすいのも事実です。
とくに広い土地や斜面、背の高い雑草が生い茂った場所では、作業の負担も危険も一気に大きくなります。
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