
カイガラムシは成虫になると体が硬い殻やワックスに覆われ、市販の殺虫剤が効きにくくなるため、早めに正しい対処を行う必要があります。
そこで本記事では、カイガラムシの発生原因や放置するリスク、成虫・幼虫・卵に合わせた効果的な駆除方法から、再発を防ぐ予防策まで徹底解説します。大切な植物を守り、健康に育てるための参考にしてください。
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カイガラムシとは?樹液を吸う害虫

植物の葉や茎、枝にストローのような口を刺し、栄養である樹液を直接吸い取ります。これにより植物の成長が妨げられ、最悪の場合は枯れてしまうケースも少なくありません。
カイガラムシは一年中発生する可能性があり、ガーデニングや観葉植物の天敵です。
●カイガラムシの見た目と特徴
●幼虫と成虫で姿が変わる生態
●コナカイガラムシなど代表的な種類
まずはその概要を確認しておきましょう。
カイガラムシの見た目と特徴
成虫になると脚が退化してほとんど動かなくなり、葉や枝に固着して集団で生息します。動かない性質のため、発見が遅れやすく、堅い防御壁のせいで殺虫剤が効きにくいのが特徴です。そのため、見つけ次第早急に対処しなくてはなりません。
幼虫と成虫で姿が変わる生態
しかし、脱皮を繰り返して成虫になると一変します。メスは脚が退化してその場から動かなくなり、殻やワックスを形成して身を守ります。一方、オスは翅(はね)が生えて飛び回りますが、口がなく、交尾後すぐに死んでしまうという特殊な生態を持っています。
コナカイガラムシなど代表的な種類
| 種類 | 見た目の特徴 | 発声しやすい植物 |
| コナカイガラムシ | 白い粉や綿のようなワックスをまとう 触ると柔らかい |
観葉植物、柑橘類、多肉植物 |
| カタカイガラムシ | 茶色や黒っぽく、カメの甲羅のような硬い殻をもつ | カポック、ゴムの木、果樹全般 |
| マルカイガラムシ | 円形または楕円形の、白い貝殻のような硬い殻に覆われる | 梅、桜、柿などの果樹や庭木 |
| イセリアカイガラムシ | 赤褐色の体に、ジャバラ状の大きな白いワックスの塊を持つ | 柑橘類、サツキ、バラ、街路樹 |
カイガラムシの発生原因

●風や鳥に運ばれて飛来
●購入した苗木や植木鉢に付着
●風通しと日当たりの悪さが繁殖を促す
●ホコリや汚れが溜まった枝葉に集まる
ここでは、具体的な4つの侵入ルートと、繁殖する原因を解説します。
風や鳥に運ばれて飛来
成虫はほとんど動きませんが、孵化したばかりの幼虫は非常に小さくて軽いため、強い風に乗って数メートルから数十メートルも飛ばされ、離れた植物へ付着します。
また、庭にやってくる鳥や衣服、ペットの毛などに幼虫が偶然付着し、そのまま別の植物へと運ばれてしまうケースも少なくありません。遮るもののない屋外の環境では、完全に侵入を防ぐのは難しいのが実情です。
購入した苗木や植木鉢に付着
カイガラムシは非常に小さく、葉の裏や枝の付け根、土の表面などに隠れているのが特徴です。そのため、園芸店やホームセンターでの販売時は、目視で見落とされてしまうことがあります。そのまま自宅の庭や室内に持ち込んでしまうと、気づかないうちに成長・繁殖し、周囲にある大切な他の観葉植物や庭木へと被害が拡大していきます。
成長・繁殖してから気付くことにならないよう、購入時の念入りなチェックが欠かせません。
風通しと日当たりの悪さが繁殖を促す
日光が当たらない密集した場所は、天敵に見つかりにくく、湿度も保たれるため、爆発的に増殖するリスクが高まります。特に梅雨時期や、剪定を怠ってボサボサになった庭木、部屋の隅に置き去りにされた観葉植物などは、発生リスクが跳ね上がるため注意が必要です。
ホコリや汚れが溜まった枝葉に集まる
また、汚れが溜まった場所は植物自体の健康状態や光合成の効率を低下させるため、カイガラムシの吸汁攻撃に対してさらに脆くなってしまいます。
定期的に葉水(はみず)や拭き掃除を行い、清潔な状態を保つことが大切です。
カイガラムシを放置するとどうなる?

放置すると植物の健康を脅かすだけでなく、周囲を巻き込む深刻な二次被害を引き起こします。
●樹液を吸われて樹木が弱り枯れる
●すす病を引き起こし葉や枝が黒くなる
●アリやアブラムシなど他の害虫を呼び寄せる
●果樹や観葉植物の価値が下がる
この章では、カイガラムシを駆除せずに放置した際のリスクを解説します。
樹液を吸われて樹木が弱り枯れる
特に繁殖して集団で吸汁されるようになると、植物の回復が追いつかなくなります。太い枝や幹まで栄養が行き届かなくなり、株全体が完全に枯死してしまうため、見つけ次第すぐに駆除することが大切です。
すす病を引き起こし葉や枝が黒くなる
見た目が著しく悪くなるだけでなく、黒い膜が太陽の光を遮ってしまうため、植物が光合成を行えなくなります。エネルギーを作れず、さらに株が弱るという悪循環に陥るため、非常に厄介です。
アリやアブラムシなど他の害虫を呼び寄せる
特にアリは、排泄物をもらう代わりに、カイガラムシをテントウムシなどの天敵の攻撃から守る共生関係を築く習性があり、非常に厄介です。天敵による自然淘汰が期待できなくなり、カイガラムシがさらに増殖しやすい環境が完成してしまいます。
果樹や観葉植物の価値が下がる
また、みかんや梅などの果樹の場合、果実にカイガラムシが寄生したり、すす病の黒い汚れが付着したりします。収穫量が減るだけでなく、見た目の悪さから売り物としての価値が著しく下がってしまうため、放置は厳禁です。
カイガラムシの駆除方法【成虫・幼虫・卵別】

●成虫は歯ブラシやヘラでこすり落とす
●幼虫期に殺虫剤で一気に退治
●卵は枝ごと切り落として処分
●冬場のマシン油乳剤で越冬中を一掃
適切なアプローチで、大切な植物を救いましょう。
成虫は歯ブラシやヘラでこすり落とす
このとき、落としたカイガラムシが土の上に落ちると、生き残って再び這い上がってくる可能性があります。あらかじめ株元にビニールシートや新聞紙を敷いておき、まとめてゴミ箱に処分するのがポイントです。
数が多いと根気のいる作業ですが、一匹ずつ確実に退治できます。
幼虫期に殺虫剤で一気に退治
広範囲に広がってしまった被害でも、スプレータイプの薬剤や浸透移行性の薬剤を散布するだけで、手間をかけずに効率よく全滅させることが可能です。この方法は成虫してしまったカイガラムシには効かないため、幼虫期に発見したその時を逃さないようにしましょう。
卵は枝ごと切り落として処分
剪定ハサミを使って卵がついている部分をカットし、そのままビニール袋に入れて密閉して処分します。もったいないと感じするかもしれませんが、躊躇している場合ではありません。早めの決断が、卵が孵化して大量の幼虫が這い出てくる二次被害を未然に防ぎ、植物全体の命を救うことにつながります。
冬場のマシン油乳剤で越冬中を一掃
マシン油を散布すると、カイガラムシの体を油の膜でぴったりと覆うことができます。これにより、硬い殻の上からでも虫を窒息させて駆除することが可能です。冬の間にこの作業をしておけば、春に生まれるはずの新しい虫をまとめて退治できます。春からの大量発生を、未然に防ぐことが可能です。
カイガラムシに効くおすすめ殺虫剤の選び方

●スプレータイプは少数発生向き
●浸透移行性の薬剤は殻の硬い成虫にも効く
●みかんなど果樹に使える薬剤を選ぶ
殺虫剤の選び方を、3つのポイントに絞って解説します。
スプレータイプは少数発生向き
●特定の植物だけに発生している
上記のシチュエーションでは、手軽に使えるスプレータイプの殺虫剤がおすすめです。水で薄める手間がなく、ボトルを手に取ってそのままシュッと吹きかけるだけなので、気づいたときにすぐ使えます。
目の前の虫に直接かけて退治するタイプが多く、すばやく効くのがメリットです。ただし、広いお庭の木や、背の高い木にたくさん発生している場合は、スプレーだけでは足りなくなってしまいます。
あくまで「見つけたらその場ですぐに使う用」として、1本常備しておくと便利です。
浸透移行性の薬剤は殻の硬い成虫にも効く
この薬を含んだ樹液をカイガラムシが吸うことで、体の中から退治することが可能です。硬い殻に守られた成虫でも、張り付いてた植物を経由して自然に駆除できます。
土にパラパラと撒く粒のタイプや、水で薄めて使うタイプもあるため、用途に応じて選択しましょう。
みかんなど果樹に使える薬剤を選ぶ
薬剤のパッケージには、使える植物(適用作物)が細かく書かれています。これに書かれていない植物に使うと、植物が傷んで枯れる原因になったり、実を食べられなくなったりすることがあるため、注意が必要です。「果樹用」や「野菜・果物用」と書かれたものを選び、安全に使用しましょう。
カイガラムシを再発させない予防策

●剪定で風通しと日当たりを良くする
●葉や枝のホコリを定期的に洗い流す
●新しい苗木は持ち込み前にチェック
●冬に予防散布を行う
カイガラムシが嫌がる環境を作り、寄せ付けないための効果的な4つの予防策を分かりやすく解説します。
剪定で風通しと日当たりを良くする
密集して混み合っている枝や、重なり合って日光を遮っている古い葉を、思い切ってカットしましょう。全体に心地よい風が通り、株の奥までしっかり日光が届くようになれば、カイガラムシは住み着きにくくなります。植物自体の育ちも良くなり、一石二鳥です。
葉や枝のホコリを定期的に洗い流す
霧吹きなどで、葉の裏側にも水をたっぷりかけるのがポイントです。ベランダや庭の植物なら、ホースのシャワーを使って少し勢いよく水をかけて洗い流しましょう。ホコリを落とすだけでなく、小さな幼虫を水で吹き飛ばす効果もあります。
新しい苗木は持ち込み前にチェック
特に葉の裏側、枝の付け根、新芽の近くなど、見えにくい場所に虫が潜んでいないか確認します。他の植物と一緒に並べる前に、数日は少し離れた場所で様子を見てみましょう。
冬に予防散布を行う
特におすすめなのが、前の章でも紹介したマシン油乳剤です。冬の間にしっかりと散布しておくことで、植物の表面に潜んでいる見落とした虫や、春に生まれる予定の虫を冬のうちに退治できます。暖かくなった春先からの大量発生を、未然に抑え込むことが可能です。
カイガラムシに関するよくある質問

| カイガラムシは人体に害がありますか? | |
| カイガラムシが人間を直接刺したり、毒を吐いたりすることはないため、人体に大きな害はありません。触ってしまっても過度に心配する必要はありません。 ただし、放置された排泄物にカビが生える「すす病」が発生すると、その胞子を吸い込むことでアレルギーを引き起こすリスクがあります。また、大量に発生した見た目の不快感や、精神的なストレスも無視できません。 安全に作業するためにも、駆除を行う際はゴム手袋やマスクを着用し、終わった後はしっかり手洗いをしましょう。 |
| 殺虫剤が効かないときはどうすればいい? | |
| 殺虫剤を撒いても効果が出ない場合、そのカイガラムシは、すでに硬い殻やワックスをまとった成虫に成長している可能性が高いです。成虫の防御壁は薬を弾いてしまうため、スプレーだけで退治するのは難しいでしょう。 そんなときは、歯ブラシやヘラを使って物理的にこすり落とすのがおすすめです。また、植物に成分を吸わせる浸透移行性の薬に変えると、張り付いている成虫にも効果が出やすくなります。 どうしても駆除しきれないときは、プロの業者へ依頼するのも手です。 |
| カイガラムシは熱湯で駆除できますか? | |
| 熱湯を使えばカイガラムシを退治することはできますが、植物への使用は絶対に避けてください。熱湯をかけると虫だけでなく、大切な植物の葉や根まで大ダメージを与えてしまいます。 植物の細胞は高温にとても弱いため、熱湯がかかった部分は一瞬で傷んで元に戻らなくなります。カイガラムシの駆除は、歯ブラシで優しくこすり落とすか、植物に優しい専用の殺虫剤を使用しましょう。 |
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