
栗の木は生育が旺盛で、手を入れずに放置すると10年ほどで8m近くまで伸びてしまいます。
高くなりすぎた栗の木は、見た目の問題だけでなく、日当たりや風通しの悪化、実つきの低下、台風時の倒木リスクなど、さまざまなトラブルの原因となります。
「自分で強剪定して低くできるのか」「切る時期はいつが正しいのか」「太い枝はどう処理すればよいのか」と疑問を抱く方も多いはずです。
本記事では、大きくなりすぎた栗の木を低くする強剪定のやり方を、適した時期や具体的な手順、切り口の処理、道具選び、業者に頼んだ場合の料金目安まで図解を交えて解説します。
来年の収穫量アップと安全な管理を両立させたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
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大きくなりすぎた栗の木は強剪定で低くできる

栗は萌芽力(切ったあとに新しい芽を出す力)が強い樹種のため、太い枝や主幹を切り詰めても枯れにくく、低く仕立て直しやすいといえます。
ここではまず、放置した栗の木に起こる問題、強剪定で実つきが回復する理由、そして作業に適した時期を順に確認していきます。
放置して高くなった栗の木の問題
最大の理由は、栗が上へ上へと枝を伸ばす性質を持ち、生育が早いことにあります。
具体的には、放置した栗の木では次のようなトラブルが起こりやすいです。
- ●樹高が高くなり、脚立や手の届く範囲で収穫・剪定ができなくなる
- ●枝葉が密集して内部の日当たりと風通しが悪くなり、実つきが落ちる
- ●湿気がこもってカイガラムシやクスサンなどの病害虫が発生しやすくなる
- ●枝が隣家や道路へ越境し、落ち葉やイガ(トゲのある殻)をめぐるトラブルになる
- ●幹が太く重くなり、台風や強風で倒木・落枝するリスクが高まる
つまり、高くなりすぎた栗の木を放置することは、収穫の手間だけでなく安全面でもリスクを抱える状態だといえます。
問題が大きくなる前に、計画的な強剪定で樹高を抑えることが大切です。
強剪定で樹高を下げると実つきも回復
理由は、樹高を抑えて枝を横方向に広げることで、木の内部まで日光が届き、光合成が活発になるためです。
栗は日当たりを好む樹種で、混み合った枝を整理して採光と風通しを確保すると、充実した枝が増えて雌花がつきやすくなります。
たとえば、上へ伸びた主幹を低い位置で切り詰める「芯抜き(芯止め)」をおこなうと、頂部の成長が止まって側枝が充実し、手の届く範囲に実がつくようになります。
このように、強剪定は単に木を小さくする作業ではなく、来年以降の収穫量を底上げするための前向きな手入れと考えると良いでしょう。
強剪定に適した時期は落葉後の12月〜2月
休眠期は木の活動が止まっており、太い枝を切っても樹液の流出が少なく、木へのダメージを最小限に抑えられるためです。
逆に、春から夏の成長期や収穫前の秋に強剪定をおこなうと、切り口から大量の樹液が出て木が弱り、翌年の実つきにも悪影響が及びます。
地域によって落葉の時期は前後するため、葉がすべて落ちてから芽が動き出す前までを目安に作業してください。
下表に、時期ごとの剪定の向き不向きをまとめます。
| 時期 | 木の状態 | 強剪定の可否 |
|---|---|---|
| 12月〜2月(落葉後の休眠期) | 活動を停止 | 最適。太い枝の処理に向く |
| 3月(芽出し前) | 休眠の終わり | 可。芽が動く前に済ませる |
| 4月〜8月(成長期) | 活発に生育 | 不可。樹液が出て木が弱る |
| 9月〜10月(収穫期) | 結実・収穫 | 不可。実つきに悪影響 |
栗の強剪定は、葉が落ちて木が眠っている冬のあいだに集中させるのが基本です。
【図解】大きくなりすぎた栗の木を低くする剪定方法

ここでは、樹高を下げる手順を「主幹の切り詰め」「徒長枝の処理」「切り返しによる横誘引」「パラソルカット」「太い枝の3段階切り」の5つに分けて具体的に解説します。
作業前には、剪定バサミ・太枝切りバサミ・剪定ノコギリ・チェーンソーなどの刃をアルコールや消毒液で拭き、切り口から雑菌が入らないようにしてから始めてください。
主幹を切り詰めて樹高を下げる

主幹の先端には上方向へ伸びる成長点があり、ここを切ることで頂部の伸長が止まり、低い樹形を保てるためです。
具体的な手順は次のとおりです。
- ●仕上げたい樹高(目安は3〜4m以内)を決め、その高さにある外向きの枝の少し上を切る位置とする
- ●切る位置のすぐ下に、これから主幹の役割を引き継がせる元気な側枝があるかを確認する
- ●側枝の付け根から1〜2cm上で、切り口がやや斜め下を向くようにノコギリまたはチェーンソーで切断する
- ●切り口の直径が3cmを超える場合は、後述の癒合剤を塗って保護する
主幹を引き継ぐ側枝を残しておくと、切り口付近から無秩序に芽が吹くのを抑えられ、樹形が乱れにくくなります。
この「芯抜き」によって、栗の木は上ではなく横へエネルギーを向けるようになります。
徒長枝を付け根から切る

徒長枝は養分を奪うわりに実がつきにくく、放っておくと再び樹高を押し上げる原因になるためです。
切る際は、枝の途中ではなく必ず付け根で処理するのが鉄則となります。
枝の途中で切ると、残した部分が枯れ込んだり、その周辺から不定芽(ふていが)が密集して出たりして、かえって枝数が増えてしまいます。
下表に、残す枝と切る枝の見分け方をまとめます。
| 枝の種類 | 特徴 | 処理 |
|---|---|---|
| 徒長枝 | 真上へ勢いよく伸びる | 付け根から切る |
| からみ枝・交差枝 | 他の枝とこすれ合う | 付け根から切る |
| ふところ枝 | 内側へ向かい日が当たらない | 付け根から切る |
| 横へ広がる充実した枝 | 日当たりがよく芽が詰まる | 残す(主役の枝) |
不要な徒長枝を付け根から整理することで、残した枝に養分が集まり、実つきのよい樹形に近づきます。
切り返し剪定で横方向に誘引

切り返しとは、枝の途中にある芽の少し上で切り、その芽から新しい枝を伸ばさせる手法です。
外側を向いた芽の上で切ると、新しい枝が外へ向かって伸び、樹形が横に広がって低く保てます。
具体的な手順は以下のとおりです。
- ●残す枝のなかから、外側を向いた充実した芽を探す
- ●その芽の5〜10mm上を、芽と反対側へやや斜めになるよう切る
- ●枝全体の長さがおおむね3分の1〜2分の1になるように切り戻す
- ●切り口が真上を向かないようにし、雨水がたまらない角度に整える
内向きの芽の上で切ると枝が内側に伸びて混み合うため、必ず外向きの芽を選ぶことがポイントです。
切り返しを丁寧におこなうと、上に伸びがちな栗の木を横へ広がる扱いやすい樹形へと作り変えられます。
パラソルカットで樹形をコンパクトに整える

パラソルカットは、頂部を低い位置で止めて中心を開き、主要な枝を放射状に横へ広げる仕立て方です。
頭上に枝葉が広がる形になるため、直射日光が地面に届きにくく、人の背丈ほどの高さで花や実を楽しめる利点があります。
整え方の流れは次のとおりです。
- ●主幹を1.8〜2m前後の低い位置で止め、中心の上向き枝を抜いて天井を開ける
- ●そこから四方へ伸びる主要な枝を選び、水平に近い角度で外へ広げる
- ●広げた枝の先端は切らず、内側の混み枝だけを間引いて光を通す
- ●全体を上から見て、枝が放射状にバランスよく配置されているか確認する
ただし、横へ広げる枝の先端には翌年の花芽がつくため、先端は切り詰めず残すよう注意してください。
パラソルカットで仕立てれば、脚立を使わずに手入れと収穫ができる、管理しやすい栗の木に整います。
太い枝は3段階切りで処理

太い枝を付け根からいきなり切ると、枝の重みで途中から裂け、幹の樹皮まで大きくはがれてしまうためです。
樹皮がはがれると傷口がふさがらず、そこから腐朽菌が侵入して木が弱る原因になります。
具体的な3段階の手順は以下のとおりです。
| 手順 | 切る位置 | 目的 |
|---|---|---|
| @受け口を入れる | 付け根から20〜30cm離れた枝の下側に、3分の1ほど切り込む | 裂け下がりを防ぐ |
| A枝を落とす | 受け口より少し先(外側)の上から切り進め、枝の重みごと落とす | 枝の重量を先に除く |
| B残りを切り直す | 付け根のふくらみ(ブランチカラー)の外側で切り直す | 傷口の早い回復を促す |
付け根のふくらみを残して切ると、木が自分で傷口をふさぐ働きが進み、腐朽を防げます。
太い枝ほど、この3段階切りを守ることで安全と木の健康の両方を保てます。
年数別・成長段階ごとの剪定の仕方

幼木のうちは骨格づくり、成木では樹高の維持、老木では更新が中心となります。
ここでは、年数別に剪定のポイントを整理します。
植え付け1〜2年目の幼木の剪定
最初に高さを抑えておくと、その後の樹形を低くコンパクトにコントロールしやすくなるためです。
植え付け時には、地面から約50cmの高さで主幹を切り戻し、切り口の下から新しい枝を数本出させます。
この段階で上へ伸ばしすぎると、後年に手の届かない高木になってしまうため、低く抑える意識が大切です。
幼木期の切り戻しは、将来の収穫しやすさを左右する土台づくりだと考えましょう。
3〜5年目の若木の樹形づくり
この時期に骨格を整えておくと、実をつけ始めてからの管理が格段に楽になるためです。
伸びた新梢のうち、外向きでバランスのよい枝を主枝として残し、内側へ向かう枝や混み合う枝を間引きます。
なお、3年目以降は新梢の先端を切らないようにしてください。
新しい枝の先端付近には翌年の花芽がつくため、先端を切ると実がつかなくなります。
若木期は、横へ広がる骨格を意識しながら、花芽のつく枝先を守ることが収穫につながります。
6年目以降の成木の維持剪定
栗は10年目ごろに8m近くまで達して手入れが難しくなるため、その前に高さを抑え続ける必要があるためです。
主枝の高さが4mほどに収まるよう、上へ伸びた芯を切り詰める芯抜きを定期的におこないます。
あわせて、徒長枝や混み枝を整理し、内部まで日光が届くようにすると、実つきが安定します。
成木期は、高さを4m前後でキープしつつ、採光と風通しを保つことが毎年の収穫を支えるので高さを維持することも意識しましょう。
20年以上の老木・放置された木の剪定
一度に大量の枝を落とすと木が大きく弱るため、負担を分散させながら樹高を下げる必要があるためです。
初年度は主幹を低く切り詰めて高さを下げ、翌年以降に新しく出た枝のなかから骨格を選び直していきます。
幹の内部が空洞化していたり、大きく枯れ込んでいたりする場合は、無理に再生させず伐採を検討するのが安全です。
老木の更新は時間のかかる作業のため、状態の見極めが難しいときは早めに専門家へ相談することをおすすめします。
栗の木の剪定で初心者がやりがちな失敗

ここでは初心者が陥りやすい4つの失敗と、その回避方法を解説します。
切り口を放置して腐らせる
栗のように切り口が大きくなりやすい樹種では、傷口が自然にふさがる前に腐朽菌が侵入するリスクが高いためです。
直径3cmを超える切り口には、後述する癒合剤を塗って保護し、雨水がたまらない角度に切ることを心がけてください。
切り口を放置しないひと手間が、木全体の寿命を大きく左右するので、切り口は必ず保護しましょう。
花芽のついた枝先を切って実がならなくなる
栗の花芽は前年の夏から秋にかけて新梢の先端付近に分化するため、枝先を切ると翌年の花芽ごと落としてしまうためです。
樹高を下げる強剪定では枝先を切らざるを得ない場面もありますが、横へ広げて残す枝の先端は切らないよう意識してください。
不要な枝は付け根から間引き、残す枝の先端は守るという使い分けを忘れないようにしましょう。
一度に枝を切りすぎて木を弱らせる
葉を一気に失うと光合成量が激減し、木が蓄えた養分だけで生き延びることになるためです。
そのため、1回の剪定で落とす枝葉は、全体の3分の1程度までを目安にとどめてください。
それ以上に大きく下げたい場合は、数年に分けて段階的に進めるのが安全です。
切りすぎを避け、木の体力を残しながら作業することで、今後も長く収穫を楽しむことができるでしょう。
癒合剤を塗らず病害が入る
癒合剤は切り口をコーティングして菌の侵入や乾燥を防ぎ、木の自然な回復を助ける役割を持つためです。
太い枝を切ったあとは、市販の癒合剤(癒合促進剤)を切り口全体にまんべんなく塗布してください。
あわせて、使用する刃物を事前に消毒しておくと、切り口からの感染をさらに抑えられます。
癒合剤と道具の消毒という基本を守るだけで、剪定後の病害リスクは大きく下げられます。
栗の木の剪定を業者に頼む費用相場

ここでは、樹高別の剪定料金、強剪定・伐採・処分の内訳、個人と業者の比較を順に確認します。
なお、以下の金額はあくまで一般的な相場であり、木の太さや作業環境によって変動します。
樹高別の剪定料金の目安
1本あたりの剪定料金の目安は、下表のとおりです。
| 樹高 | 高さの目安 | 剪定料金(1本) |
|---|---|---|
| 〜3m(低木) | 1階の屋根あたり | 約3,000〜5,000円 |
| 3〜5m(中木) | 2階の窓あたり | 約6,000〜15,000円 |
| 5〜7m(高木) | 2階の屋根を超える | 約15,000〜30,000円 |
| 7m以上 | 高所作業車が必要 | 現地見積もり |
5mを超える高木は高所作業車や特殊な装備が必要になるため、現地調査のうえで見積もりを取るのが確実です。
強剪定・伐採・処分費の内訳
総額は「作業費+処分費+諸経費」で構成されると考えると分かりやすいといえます。
主な費用の内訳は下表のとおりです。
| 項目 | 費用の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 伐採(3〜5m) | 約8,000〜20,000円 | 幹の太さで変動 |
| 伐採(5m以上) | 約15,000〜30,000円 | 高所・重機で加算 |
| 枝葉・幹の処分費 | 1本あたり約1万円前後〜 | 量と太さで増減 |
| 抜根(切り株の除去) | 数千〜数万円 | 幹周りで変動 |
| 諸経費(出張費など) | 数千円〜 | 業者・地域による |
切り株まで取り除く抜根や、高所作業車の使用が加わると総額は上がるため、内訳を明確にした見積もりを確認してください。
個人で剪定する場合と業者依頼の比較
費用・安全性・仕上がりの観点から両者を比較すると、下表のように整理できます。
| 項目 | 個人でおこなう | 業者に依頼する |
|---|---|---|
| 費用 | 道具代が中心(数千〜数万円) | 1本あたり数千〜数万円 |
| 安全性 | 高所は転落・落枝のリスク大 | 専用装備と保険で安全 |
| 仕上がり | 経験により差が出る | 樹形と実つきに配慮 |
| 処分 | 自治体ルールで自分で処理 | まとめて引き取り可 |
| 向くケース | 低木・細枝の軽い剪定 | 高木・強剪定・太枝の処理 |
手の届く範囲の軽い剪定は個人で、樹高を大きく下げる強剪定や伐採は業者へ、と使い分けるのが現実的な判断となります。
栗の木の剪定でよくある質問

樹高を下げる方法や剪定時期、切り返しの意味など、作業前に押さえておきたいポイントを確認してください。
| 栗の木を低くするにはどうすればいいですか? | |
| 栗の木を低くするには、休眠期に主幹を低い位置で切り詰める「芯抜き(芯止め)」をおこなうのが基本です。 主幹の先端にある成長点を取り除くと頂部の伸長が止まり、その後は枝が横へ広がるためです。 あわせて徒長枝を付け根から整理し、残す枝を切り返しで横へ誘引すると、樹高を3〜4m以内に抑えられます。 一度に切りすぎると木が弱るため、大きく下げたい場合は数年に分けて進めると安心です。 |
| 栗の木の剪定時期はいつですか? | |
| 栗の木の剪定に適した時期は、落葉後の休眠期にあたる12月〜2月です。 この時期は木の活動が止まっており、太い枝を切っても樹液の流出が少なく、ダメージを抑えられるためです。 地域によっては11月〜3月の範囲で調整できますが、芽が動き出す前までに済ませるのが理想となります。 逆に、成長期の夏や収穫前の秋の強剪定は木に負担をかけるため避けてください。 |
| 栗の剪定における切り返しとは何ですか? | |
| 切り返しとは、枝の途中にある芽の少し上で切り、その芽から新しい枝を伸ばさせる剪定方法です。 外側を向いた芽の上で切ると、新しい枝が外へ向かって伸び、樹形を横に広げながら低く保てます。 栗の木では、上へ伸びた枝を外向きの芽の上で切り返すことで、扱いやすいコンパクトな樹形に整えられます。 切る位置の芽の向きで枝の伸びる方向が決まるため、外向きの芽を選ぶことが成功のポイントです。 |
大きくなりすぎた栗の木の剪定ならお庭の大将にお任せください

とはいえ、5mを超える高木の芯抜きや太い枝の3段階切りは高所作業を伴い、転落や落枝の危険と隣り合わせです。
栗の実つきを左右する花芽の位置を見極めた剪定も、経験のないうちは難しいといえます。
そこで、樹高を下げる強剪定や伐採は、プロに任せるのが安心です。
お庭の大将では、栗をはじめとする庭木の剪定・伐採を、樹種の性質や花芽の位置をふまえて丁寧に仕上げます。
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大きくなりすぎた栗の木でお困りの際は、ぜひお庭の大将までお気軽にお問い合わせください。




