適切な時期や方法、実がならない時の正しい育て方を解説

この記事では、手入れを怠ったときに起こる変化や、季節ごとの切り方、実がつかないときの確認点について解説します。
イチジク剪定の際のご参考にしてください。
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イチジクを剪定しないとどうなる?3つのリスク
樹の内側に光や空気が届かなくなると、果実や樹の健康に影響が及びます。
手入れをしない場合に起こりやすい、3つの不具合を確認しましょう。
枝が暴れて樹形が乱れる
生育のスピードが速く、手を入れずに育てると数年で枝が四方へ広がり、樹形が乱れていきます。
日本の庭では3〜5m前後まで育ち、背丈が出すぎると上部の実に手が届かなくなって、収穫の作業性が落ちてしまうのです。
低くまとめるには、冬の切り戻しと余分な枝の間引きを毎年続けることが欠かせません。
放置しても枯れはしませんが、込み入った枝は管理の負担を増やし、見た目の美しさも損ないます。
日当たりが悪くなり実つきが激減
枝が伸びたあとでも、樹の中心まで光が差し込むよう整えることが基本です。
イチジクは光が足りないと果実が十分にふくらまず、密集した枝や徒長した枝、主枝の裏から出る枝が影をつくると、着果が目に見えて悪くなります。
光合成がさえぎられて樹全体の充実も鈍るため、収量と糖度の両面に響きます。
日照の確保は、おいしい実を得るための前提です。
風通しが悪くなり病害虫が発生しやすい
とくに警戒したいのがカミキリムシで、樹の内側に産みつけられた幼虫が幹や枝を食い荒らし、放置すれば枝先や幹が枯れ込みます。
キボシカミキリやクワカミキリが代表例で、株元に木くずや糞が落ちていれば加害のサインです。
ハダニやカイガラムシ、アブラムシなども付きやすく、空気の通り道を保つことが防除の土台になります。
枝の重なりを減らしておくと、害虫を早い段階で見つけやすくなる利点もあります。
イチジクの剪定時期はいつがベストか
落葉果樹のイチジクは、葉が落ちて休眠に入る冬が適した季節で、夏果か秋果かによって残す枝も変わります。
剪定時期について詳しく見てみましょう。
落葉後の12〜2月が基本
休眠している冬は、樹へのダメージを抑えながら大胆に枝を整えられる時期です。
一般的には12月から2月頃が目安で、厳寒期を外して2月中旬から下旬に行うのがよいとされています。
葉が落ちて枝の形が見えるため、どこを切るかを判断しやすくなるからです。
養分を蓄えて活動を止めているため、太い枝を落としても回復が早く進みます。
葉や実がない時期なので、樹の骨格を見ながら落ち着いて作業できる点も魅力です。
冬の作業がもたらす利点は、次のとおりです。
- ●枝の重なりや向きが見えやすく、残す枝を選びやすい
- ●休眠中のため、切ったあとの回復が早い
- ●害虫の活動が鈍く、切り口からの被害が広がりにくい
4月以降の生育期は強剪定を避ける
株が消耗するうえ、梅雨や高温の時期には傷口から菌が入り、病気を招くおそれも高まります。
伸びはじめた枝を落とせば生育そのものを妨げ、実つきが悪くなる引き金にもなりかねません。
大きく切り戻す作業は休眠期にまわし、生育中は混み合った部分の軽い調整や芽かきにとどめましょう。
時期の見極めが、失敗を防ぐ分かれ目になります。
夏果と秋果で剪定タイミングが変わる
イチジクは実が熟す時期が年に2回あり、どの枝に実がつくかで品種が分かれます。
タイプを取り違えると切り方も誤りやすいため、収穫期と着果する枝の関係を整理しておきましょう。
| 品種タイプ | 実がつく枝 | おもな収穫期 | 剪定の考え方 |
|---|---|---|---|
| 夏果専用種 | 前年に伸びた枝(2年枝) | 6〜7月頃 | 充実した前年枝を残し、強く切らない |
| 秋果専用種 | その年に伸びた新梢(1年枝) | 8〜10月頃 | 2〜3芽残して短く切り戻す |
| 夏秋兼用種 | 2年枝の先端と当年の新梢 | 6〜7月と8〜10月 | 一部の枝を残しつつ秋果中心に整える |
前年枝に実をつける夏果は、その枝を切り落とすと翌年の収穫が見込めません。
新梢に実がつく秋果は、冬に切り詰めても春以降に伸びた枝へ実が乗ります。
国内で広く育てられる桝井ドーフィンは夏秋兼用種なので、両方の収穫を味わえます。
樹のタイプを把握してから残す枝を決めましょう。
イチジクの正しい剪定方法
夏果と秋果で花芽のつき方が違うため切り方も変わり、混み合った枝の処理や主枝の交代も大切です。
夏果は前年枝を残して切る
そのため冬にすべての枝を切り詰めると、夏に収穫できる実がなくなってしまいます。
夏果専用種や夏秋兼用種では、実をつける勢いのよい前年枝を数本だけ残し、ほかの伸びすぎた枝は2〜3芽ほどを残して切り戻すのが基本です。
強い切り戻しではなく、長すぎる枝先を軽く縮める手入れと不要枝の整理で形を整えます。
残す枝の見極めに慣れが要るため、やや上級者向けの管理です。
秋果は短く切り詰めて新梢を出す
秋果専用種では、冬にすべての新梢を2〜3芽残して切り戻すのが基本で、切り口から伸びた新しい枝がその年の結果枝になります。
切りすぎて実が消える心配が少なく、付け根付近から思いきって落とせるため、判断に迷いにくいのも特徴です。
残った新梢が多すぎる場合は3〜5本ほどに絞ると、養分が集まって果実が充実します。
栽培をはじめた方は、秋果を軸にした管理だと結果を出しやすいでしょう。
混み合った枝・徒長枝・枯れ枝を整理
品種に応じた切り戻しに加えて、樹の内部を風通しよく保つための間引きを行います。
日陰や混雑のもとになる枝は、伸びる向きや位置で種類を見分け、分岐の付け根から落とすのが基本です。
代表的な不要枝と対処のしかたを、下の表にまとめました。
| 不要枝の種類 | 特徴 | おすすめの対処 |
|---|---|---|
| 内向枝 | 樹の内側へ向かって伸びる | 付け根から間引く |
| 交差枝 | ほかの枝と交わるように伸びる | 一方を残して間引く |
| 下垂枝 | 地面に向かって垂れ下がる | 付け根から落とすか上向きに誘引 |
| 平行枝 | 近い位置で同じ向きに伸びる | 一方を残して間引く |
| 徒長枝・枯れ枝 | 伸びすぎた枝や傷んだ枝 | 確実に切除する |
これらを残すと養分が分散し、全体の実つきが落ちます。
病害虫で傷んだ枝は、被害を広げる前に取り除くことが肝心です。
樹の中心まで光と空気が抜けるよう整えると、成熟がそろいやすくなります。
3年目以降の主枝の更新
樹形が定まったら、結果母枝を2〜3芽残して切り、毎年同じ位置に結果枝をつくります。
主枝が凍霜害やカミキリムシの食害で傷んだら、付け根から出た芽を残して主枝を入れ替えましょう。
近年は、主枝そのものを毎年交代させて樹を若く保つ「リフレッシュ剪定」も研究機関により開発され、果実の品質向上などの効果が報告されています。
イチジクの実がならない時の見直しポイント
原因は剪定・肥料・根の状態・日照のいずれかにあることが多く、順に確認していきましょう。
剪定不足で枝が暴れている
よくあるのは、夏果と秋果の違いを知らずに一律で短く切り戻し、実のなる枝まで落としてしまう例です。
前年枝に実をつける夏果型を強く切れば翌年の収穫はゼロになり、当年枝に実をつける秋果型で枝を残しすぎれば、枝数ばかり増えて実は小さく数も減ります。
放任して枝が暴れている樹も、養分が散らばって結実が安定しません。
品種に合わせて、残す枝と落とす枝のバランスを取り直すことが解決につながります。
肥料の時期と量が合っていない
イチジクは肥料を多く欲しがる果樹で、与える時期と量がずれると実つきに響きます。
庭植え・鉢植えともに年3回が目安で、代表的な施肥のタイミングを表に整理しました。
| 区分 | 時期 | おもな目的 | 向いている肥料 |
|---|---|---|---|
| 寒肥(元肥) | 12〜2月 | 翌年の生育に向けた養分の蓄え | 有機肥料+完熟堆肥・腐葉土 |
| 夏の追肥 | 6〜7月 | 果実の肥大と枝の充実 | 化成肥料(8-8-8など) |
| 秋の追肥 | 9〜10月 | 収穫で消耗した樹勢の回復 | 有機肥料・化成肥料 |
窒素を与えすぎると枝葉ばかり茂って実がつきにくいため、リン酸やカリウムも意識した配分が望まれます。
中性から弱アルカリ性の土を好むので、苦土石灰での土づくりも有効です。
鉢植えでは肥料分が流れやすく、少量をこまめに補う管理が向きます。
樹の状態を見ながら、与える量を調整することも大切です。
根詰まりで栄養が回っていない
根詰まりとは、根が鉢の中でいっぱいに広がり、伸びられなくなった状態です。
根詰まりは実つきが落ちる原因になります。
根詰まりを解消するための鉢やプランターの植え替えは2〜3年に1回が目安です。
休眠期に古い土を落とし、傷んだ根を整理してから新しい用土へ移しましょう。
また、イチジクは水を多く必要とする一方、過湿にも弱い性質があります。
水はけと水もちのどちらも備えた用土を選び、鉢底の排水を確かめておくと、根が健やかに伸びて樹勢が戻りやすくなります。
日照不足で花芽が付かない
まずは植え場所が日陰になっていないか、隣の樹木や建物に光をさえぎられていないかを見直しましょう。
茂った枝が自らの影をつくっているなら、間引きで樹の内部まで光と風を通すと改善が見込めます。
地植えで置き場所を変えにくい場合は、周囲の障害物を減らす対応が現実的です。
イチジク剪定で失敗しないための注意点
仕上がりと樹の健康を左右する、4つの基本を確認しておきましょう。
切り口に癒合剤を塗る
切り口には癒合剤を塗って、菌の侵入や枝の枯れ込みを防ぎましょう。
とくに雨の多い季節や気温の高い時期は感染の危険が増すため、休眠期の作業であっても断面の保護をおすすめします。
塗布の前に切り口の汚れを払い、乾いた状態で薄くのばすと密着しやすくなります。
小さな切り口まで神経質に塗る必要はありませんが、直径の大きい部分は手当てしておくと安心です。
太い枝を一度に切りすぎない
とりわけ生育期の強剪定は控えるべきで、太い枝を整理したいときは休眠期に、数年かけて段階的に進めるのが無難です。
一度に大量の枝を落とさず、樹の体力を見ながら計画的に更新しましょう。
あわてて短くまとめようとすると、かえって回復に時間がかかります。
切る位置は芽の上5mmが目安
芽から離れすぎた位置で切ると先端が枯れ込み、近すぎると芽そのものを傷めます。
目安は芽の数mm上で、外側に向いた芽(外芽)の上で切ると枝が外へ広がり、樹の内部が混み合いにくくなります。
断面に水がたまらないよう、芽の反対側へ向けてやや斜めに切ると、傷みにくく仕上がります。
残す芽の向きを意識するだけで、翌年の枝ぶりが整いやすくなり、採光や風通しの確保にも役立ちます。
剪定ばさみは消毒してから使用
汚れた刃を使うと、ある樹の病原菌を別の枝や別の株へ運んでしまうおそれがあります。
作業の前後にアルコールなどで刃を消毒しておくと、感染の連鎖を抑えられます。
切れ味が鈍ると断面がつぶれて傷の治りも遅くなるため、刃の手入れもあわせて行うとよいでしょう。
なお、イチジクの枝や葉を切ると白い乳液が出て、肌の弱い方はかぶれることがあります。
手袋を着けて作業すると、皮膚への刺激を避けられます。
イチジク剪定に関するよくある質問
気になる点があれば参考にしてみてください。
イチジクを庭に植えてはいけない理由は? |
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「庭に植えると縁起が悪い」という言い伝えは、「無花果」という漢字からの誤解とされ、科学的な裏づけはありません。 むしろ注意したいのは現実的な管理面です。 根が浅く横へ広がるため強風で倒れやすいこと、カミキリムシの被害を受けやすいこと、熟した実が鳥に狙われやすいこと、白い樹液でかぶれる場合があることなどが挙げられます。 いずれも植え場所の工夫や鉢植え、防鳥ネットや早めの防除で対応できます。 条件を整えれば、庭でも栽培を楽しめます。 |
イチジクに肥料をあげる時期はいつ? |
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年3回が基準です。 6〜7月と9〜10月に追肥(お礼肥)、12〜2月に寒肥(元肥)を施します。 庭植えでは追肥に有機肥料や化成肥料、寒肥には有機肥料へ完熟堆肥や腐葉土を混ぜて与えます。 鉢植えでは3回とも有機固形肥料か緩効性の化成肥料を適量与えます。 石灰を好む性質があるため、苦土石灰での土壌改良も有効です。 窒素の与えすぎは枝葉ばかり茂る原因になるので、量の調整も忘れずに行いましょう。 製品ごとに目安量が異なるため、ラベルの表示を確認したうえで施すと、過不足を避けやすくなります。 |
剪定したあと実がならなくなることはある? |
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あります。 もっとも多いのは、品種の性質を踏まえずに切ってしまうケースです。 夏果は前年に伸びた枝に実がつくため、その枝を付け根から落とすと翌年の夏果が消えてしまいます。 一方、秋果は当年の新梢に実がつくので、冬に切り戻しても新梢が伸びれば実は乗ります。 自分の樹が夏果型か秋果型か兼用種かを確かめ、それに合った残し方を選べば、剪定後に実がつかなくなる失敗は防げます。 迷うときは秋果中心の管理が無難です。 |
イチジクの剪定ならお庭の大将にお任せください
夏果と秋果の見分けや主枝の交代、混み合った枝の整理は、慣れないうちは判断が難しい作業です。
「どこを切ればよいかわからない」「大きくなりすぎた木を整えたい」という場合は、無理をせず専門家に相談すると確実です。
お庭の大将では、樹の状態と品種に合わせた手入れで、毎年おいしい実が実る樹づくりをお手伝いします。










