庭木剪定のやり方・切る枝の見分け方は？初心者向けコツと適した時期、道具まで解説！

庭木の手入れをしたいと思ったとき、「剪定のやり方がわからない」と戸惑った経験はありませんか？自己流でやって失敗したら木が枯れてしまうのでは…と悩んでいる人も多いかもしれません。

しかし、剪定は正しいやり方と少しの知識さえあれば、決して難しいものではありません。木の性質や育てたい形に応じた剪定方法を理解し、必要な道具とタイミングを押さえれば、誰でも安全に、美しく仕上げられます。

この記事では、初心者でもすぐに実践できる剪定の基本的なやり方をわかりやすく解説します。

どの枝を切ればいいか、外芽の見分け方・剪定ハサミの選び方など、悩みを一つずつ解消していきましょう。

最後まで読めば、自信を持って庭木の剪定に取り組めるはずですよ。

庭の手入れに欠かせない作業のひとつ剪定（せんてい）。見た目を整えるために枝を切るイメージが強いかもしれませんが、実はその目的はそれだけではありません。木の健康を保ち、病害虫を防ぐ非常に重要な作業です。詳しく見ていきましょう。

剪定の主な目的は以下のとおりです。

剪定は単なる「見た目を良くする作業」ではなく、木全体の生育環境や将来的な姿を見据えた計画的なケアといえるでしょう。

剪定を怠ると、庭木には以下のようなリスクが発生します。

⚫︎枝が過密になり病害虫が発生しやすくなる
⚫︎樹形が乱れて景観が損なわれる
⚫︎強風で折れた枝が落下し危険になる可能性
⚫︎隣家や道路へ枝がはみ出してトラブルの原因に
⚫︎養分が分散しすぎて花や実がつきにくくなる

特に注意したいのは、害虫や病気の温床になってしまうことです。風通しが悪いと湿気がたまりやすくなり、カビや病原菌が発生しやすくなります。

またモサモサに茂った枝は害獣のすみかにもなりやすく、害獣駆除の観点からも剪定は欠かせません。

また枝が建物の壁や屋根に接触することで、建材を傷めたり、雨どいを詰まらせたりする事例も少なくありません。剪定の手間を惜しんだ結果、思わぬ修繕費用が発生してしまうこともあるのです。

剪定は、庭木の美しさや健康を保つために欠かせない作業ですが、その「時期」を間違えると逆効果になってしまうこともあります。特に初心者の方や、剪定に慣れていない方にとっては「いつ切ればいいのか」が最も悩ましいポイントかもしれません。

ここでは落葉樹・常緑樹・花木といった樹種ごとに最適な剪定時期を解説し、避けるべきタイミングについても詳しく紹介します。

庭木の剪定は、樹木の種類によって適した時期が異なります。特に落葉樹と常緑樹で大きく異なるため、違いを理解しておくとよいでしょう。

落葉樹は、葉が落ちて木が休眠状態にある冬の剪定がぴったりです。冬の時期は樹液の流れも緩やかで、剪定によるストレスも抑えられます。

一方、常緑樹は、気温が安定し新芽の成長がある程度落ち着いた初夏に剪定するのがポイント。病害虫のリスクも低く、木への負担も比較的少ないとされています。

花を咲かせる庭木である花木の剪定は、タイミングを誤ると翌年の開花に悪影響を及ぼします。花木の多くは「前年に花芽ができるタイプ」が多く、剪定の時期を誤ると花芽を落としてしまう危険があります。剪定のタイミングは以下を参考にしてください。

花が咲き終わった直後に剪定を行うことで、次の年の花芽形成にも支障が出ません。剪定の目的は見た目だけではなく、翌年の花を咲かせるための準備でもあるため、特に花木に関してはタイミングが重要です。

剪定には避けるべき時期もあります。特に4月〜5月の「新芽の成長期」にあたる時期は、剪定を避けましょう。

新芽の成長期は木が養分を使って一気に成長するタイミングであり、剪定によりダメージを受けやすくなります。以下に詳しい理由をまとめました。


⚫︎樹勢が弱まりやすい
⚫︎新芽が痛みやすくなる
⚫︎成長に必要な葉を失い、光合成が妨げられる
⚫︎結果的に木が枯れる原因になることも

やむを得ず剪定する場合は、最小限の軽い整枝にとどめておくのがよいでしょう。どうしても枝が邪魔になる場合でも、強剪定は避けましょう。

庭木の剪定をスムーズに行うには、正しい道具を揃えることが基本です。知識があっても、適切な道具がなければ枝を傷つけてしまったり、剪定に時間がかかる可能性が。作業効率や仕上がりに大きな差が出ます。

ここでは剪定の場面で活躍する、ハサミの種類と安全作業のための道具について詳しく見ていきましょう。

剪定には枝の太さによって使い分けるべきハサミがあります。間違った道具を使うと、切り口が潰れて病害虫の原因にもなるため注意が必要です。

剪定ばさみは、樹木全体のシルエットを整えるための基本道具です。細かい作業に適しており、初心者でも扱いやすいのが特徴。刈り込みばさみは、生垣や低木の表面を均等に整える際に使用します。

剪定ノコギリは、太く硬い枝に使いますが、切り口をスムーズに仕上げるには一定のコツが必要です。どの道具も定期的なメンテナンスで切れ味を保ち、樹木へのダメージを抑えられるでしょう。

剪定は高所作業や鋭利な刃物を使うため、十分な安全対策が必要です。特に初心者の場合、安全装備があるだけで事故リスクを大幅に下げられます。

安全装備をしっかりと整えれば、思わぬ事故やケガを未然に防げます。また高所作業においては無理な姿勢での作業を避け、安定した足場を確保するのが基本です。

特に、高枝切りばさみや安全ロック付きの脚立は、剪定作業を効率化するうえで非常に役立つでしょう。家庭でのDIY剪定であっても、プロ並みの備えを意識して準備しておくと安心です。

剪定作業を始めるにあたって最も重要なのは、どの枝を切るかの判断です。剪定はただ枝を短くする作業ではなく、木の健康や美しい樹形を維持するための重要なメンテナンスといえるでしょう。

まずは切るべき不要な枝の種類と見分け方を知っておきましょう。

忌み枝とは、木の健康や美観にとってマイナスとなる枝です。以下のような枝は、剪定の際に優先的に取り除くべきとされています。

忌み枝は、放置しておくと木全体のバランスを崩すだけでなく、病害虫の温床になったり、風通しが悪化してカビや腐敗を招く原因にもなります。

剪定時には、樹形の美しさと風通しの確保を意識しながら、的確に見極めて除去しましょう。また剪定後の切り口には癒合剤を塗れば病気予防にもつながります。

木の健康を守るうえで、病気や虫の被害を受けている枝は取り除く必要があります。見た目だけでは判断が難しい場合もありますが、以下のような特徴が見られる枝は注意しましょう。

病気や虫害は放っておくと、他の枝や木全体に広がる恐れがあります。特に夏季は病害虫の活動が活発になるため、定期的な観察と早期対処を徹底しましょう。

剪定により病枝を取り除くことで、他の健康な枝への被害を最小限に抑えられますよ。剪定後の枝はビニール袋に入れて密閉し、自治体の規定に従って処分するのがおすすめ。可能であれば焼却処分で再感染を防げます。

剪定作業を成功させるには、ただ枝を切るだけでは不十分です。切り方を理解すれば、木の健康を守りつつ、美しい樹形を維持できるでしょう。ここでは初心者にもわかりやすく、基本となる剪定の切り方やポイントを解説します。

剪定では、枝のどこで切るかが重要なポイントになります。特に意識したいのが外芽の存在です。外芽とは、枝の外側に向かって伸びようとしている芽を指します。

外芽のすぐ上で切れば、木全体の形が広がりやすくなり、風通しや日当たりが良くなるでしょう。切る位置は、芽の5〜10mm上を目安にし、角度は水はけをよくするために斜めに整えてください。

芽の向きを見極め、外側を選べば、不要な内向き枝が発生しにくくなり、自然な仕上がりにつながります。また切る位置が近すぎると芽を傷つける恐れがあるため、少し余裕を持たせましょう。

太い枝を一度で切り落とそうとすると、枝の重みで途中から裂けてしまったり、幹の皮が剥けてダメージを受けるケースがあります。

トラブルを防ぐには、3段階に分けて切る「3段階切り」がよいでしょう。まずは枝の下側に浅く切れ込みを入れ、次にその少し外側から上方向に切り落として枝の重さを逃がします。

最後に残った部分を幹の根元で丁寧に切れば、綺麗な切り口を作れます。3段階切りを使えば、切断時の木への負担を減らしつつ、安全に作業できますよ。

特に力がかかる太い枝では、このような安全策を取ることがプロの剪定でも常識です。

枝の剪定で重要なのは、自然な流れを壊さずに整える点です。そのために枝の分かれ目、いわゆる「分岐点」の少し上を目安にして切りましょう。

分岐点で切れば、残された枝がそのまま樹形に沿って伸びやすくなり、見た目にも違和感がありません。逆に分岐から中途半端な場所で切ると、切り口から新しい枝が乱れて生えてくる可能性が。

バランスの悪い仕上がりになりがちです。また分岐点でのカットは、芽や葉の付き方をコントロールしやすく、木全体のフォルムを整えるのに向いています。

剪定ばさみやノコギリを使う際には、刃の使い方にも気をつけなければなりません。特に重要なのが、切り口をできるだけ垂直に近く、もしくは軽く斜めになるよう意識しましょう。

切り口が鋭角になりすぎると、水分が溜まりやすくなり、病気や腐敗の原因となる恐れがあります。

また使用する道具の「受け刃」（剪定ばさみの支え側の刃）を幹側に向けると、切断面が滑らかになり、回復も早くなりますよ。

道具の向きや圧のかけ方を意識するだけで、仕上がりの美しさと木の健康状態が大きく変わるためおすすめの方法です。

剪定後のケアも非常に大切です。特に太い枝を切った後の切り口は、雨や雑菌・害虫の侵入経路になりやすいため、癒合剤（ゆごうざい）を塗布して保護するとよいでしょう。

癒合剤はホームセンターなどで市販されており、切り口全体をしっかり覆うように塗れば、乾燥や腐敗を防げます。

特に梅雨時期や多湿な場所に植えられた木では、癒合剤を使うかどうかが木の寿命に関わる場合も。

ただし塗りすぎは通気を妨げるため、厚くなりすぎないよう注意しましょう。必要な処置を行うのが、木を元気に保つ秘訣です。

初心者が陥りがちな失敗のひとつが、切りすぎです。どこまで剪定するかは木の種類や状態によって異なるものの、基本的には全体の枝葉量の約3分の1程度を目安にするとよいでしょう。

必要以上に切ってしまうと、木に強いストレスがかかり、回復が追いつかない可能性があります。逆に、あまり切らなければ、剪定の意味が薄れてしまい、風通しや日当たりが改善されません。

バランスよく、混み合った部分を中心に整理しつつ、剪定後に木全体を眺めて仕上げると自然な樹形に仕上がります。初めは少しずつ調整しながら進めると、失敗が少ないでしょう。

剪定は一見シンプルに見えますが、誤れば木にダメージを与えてしまったり、見た目が崩れるリスクがあります。特に以下のような剪定初心者が陥りやすい典型的なミスを理解すると安心です。
⚫︎一度に切りすぎると木が弱る
⚫︎枝の途中でブツ切りはNG
⚫︎弱っている木の剪定は見送る

それぞれの対策を押さえておくと、安全かつ美しい仕上がりが実現できます。ここ代表的な失敗例と回避策を解説します。

つい「思い切ってたくさん切りたい」と考えがちですが、一度に枝を多く剪定しすぎると木に過度なストレスがかかります。

枝葉を大量に切除することで、光合成の能力が一気に落ち、栄養をつくる力が弱まるおそれがあるためです。特に樹勢の弱い木や成長期の木には大きな負荷となります。

対策として、一度に剪定する量を全体の1/3 程度に抑えましょう。まずは混み合った部分から間引くように整理し、木全体を見ながら少しずつ切り進めていくのが無難です。

また剪定を複数回に分けて段階的に行うことで、木にかかる負荷を和らげられます。木が回復しやすく、安全性と美観を両立できる剪定を行えるでしょう。

枝を途中でブツ切りにする、いわゆる不自然な途中切断もよくある失敗です。枝の途中を無計画に切ってしまうと、新しい芽が出にくくなったり、樹形が乱れる原因になります。切り口が残ってしまい、腐敗や病害が進行するリスクも。

正しい対策は、分岐点や芽のすぐ上で切るのを意識する方法です。枝が分かれている場所の直上を切ると、自然な枝の構成が保たれ、余分な枝が出にくくなります。また芽のすぐ上を切れば、そこで新しい枝の誘導がしやすくなります。

切断位置に注意すれば、剪定後の樹姿が整いやすくなり、無秩序な枝が増えるのを防げます。

木そのものが弱っている場合、無理に剪定を進めるのは逆効果になる可能性があります。例えば、根が十分張れていない、病害・日照不足などで樹勢が落ちている木に対して過度な剪定を行うと、回復力が追いつかず枯れてしまうかもしれません。

対策としては、木の健康状態の見極めから始めましょう。葉の色や樹皮の状態・根の様子などを確認し、明らかに衰えていると判断できる場合は、剪定を控えて養生期間を設けるのがおすすめ。

その後、様子を見ながら軽めの剪定を段階的に行う方法をとると、木に無理をさせずにケアできます。

弱っている木に無理をさせず、まずは体力回復を目指すのが、長期的に見て無難な方法と言えるでしょう。

ここでは剪定を実際に行ううえで、初心者が特に気になる質問を取り上げ、それぞれに答えと注意点を見ていきます。

庭木の高さの上限を自分で剪定可能かどうかは、使用できる道具とその人の技量・安全対策に大きく関係します。

一般的には 3〜4メートル程度までが目安です。脚立や高枝切りばさみ・ポールソー類を使ってその範囲までは比較的安全に手が届くためです。

ただし木が5メートルを超えるような高木になると、高所作業のリスクもあり危険です。足場不安定・風の影響・落下物などの危険が伴うため、自信がなければプロの業者に頼むとよいでしょう。

地域によっては自治体の許可が必要な木もあるため、高さを理由に迷うなら、まず現地調査を依頼するのが安全です。

実際に自分で行う際は、3〜4メートルを上限とし、安全装備・安定した脚立設置・風のない穏やかな日を選ぶなど、条件を整えつつ進めましょう。

庭木の健康を維持しつつ見た目も整えるために、剪定の頻度は非常に大事なポイントです。目安としては 年1〜2回 がよいでしょう。

成長が遅い種類の木なら年1回でも十分なケースがありますが、成長の速い樹木や枝葉が密になりやすい木では、軽めの剪定を年2回に分けて行うのが望ましいケースもあります。

頻度を決める際には、次のような点も考慮すると失敗しません。

⚫︎樹種（常緑樹か落葉樹か、生育力の強さ）
⚫︎立地環境（日当たり・風通しの良さ）
⚫︎見た目を保つ頻度（整えたい頻度）
⚫︎過去の剪定履歴（どれくらい切られていたか）

例えば、伸びやすい生垣やシマトネリコなどは、年2回前後で軽めの透かし剪定を加えると形が乱れにくくなります。

他方、成長が穏やかな木なら、1回の剪定で十分な場合も。ポイントは過度な剪定を避け、木にストレスをかけすぎない範囲で調整をすることです。

自分で剪定するか業者に頼むか悩む方は少なくありません。業者に依頼すべき典型的なケースを把握しておくと判断がしやすくなります。以下のような状況では、プロに任せるのがよいでしょう。

⚫︎高木剪定（5メートルを超える高さ）で安全性に不安がある
⚫︎ロープ作業・重機使用など技術と設備が必要な作業
⚫︎隣家や建物近接木で、枝の落下リスクが高い場合
⚫︎病気や害虫の疑いがある箇所があり、診断・処理も含めて対応したい
⚫︎剪定後の枝葉処理・片付けまで任せたい
⚫︎樹形を整えるデザイン性を重視した剪定を希望する

業者に頼むと、作業の安全性・効率性・仕上がりなどがよくなります。もちろん費用はかかりますが、失敗や後処理の手間・事故リスクを避けられることを考えれば、コスト的にも検討の余地はあるでしょう。

業者に依頼する際は、見積もり内容・保険対応や保証内容を必ず確認しておくと安心です。

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